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2020/09/01
くるみが豊富に含む“オメガ3脂肪酸”と“食物繊維”が、腸のはたらきにどのような影響を与えるかを調べていくなかで見つけた「腸活うどん」。さっそく取り寄せてみたところ、これまで味わったことのない美味しさとの出会いになりました。“うどん県”とも呼ばれる製麺の本場、香川県の株式会社讃匠(さんしょう)で商品開発をおこなう食品研究室の大場國弘さんは、食品分析の専門家です。大場さんに「腸活うどん」の誕生秘話、そしてくるみの役割についてお話をうかがいました。
開発の段階で、医師と意見交換などおこないました。特に食の細くなる高齢者は肉を摂らないことでたんぱく質と脂質が不足しています。くるみ、昆布、大豆の練り込まれた「腸活うどん」は、通常のうどんと比較し、たんぱく質が1.8倍、脂質は4.8倍と豊富です。対して炭水化物は85%、塩分は75%と抑えられています。
腸にとって食物繊維が重要だということは分かっていました。「腸活うどん」で摂ることができるのは、1日に必要な食物繊維の最大20%ほどですが、そのほかにも様々な成分を麺に練り込むことで、腸活に貢献できるのではないかと考えました。そこで着目したのがくるみです。くるみは良質な食物繊維のほかに、「身体に良い脂質」の代表格とされるオメガ3脂肪酸を豊富に含む食材として有名です。オメガ3脂肪酸は心臓の健康維持に役立つほか、腸の働きを活性化させるという研究結果も示されていますし、脳の認知機能にも良い影響があるそうです。腸は「第2の脳」とも呼ばれる器官なのです。
腸活と聞くと思いつくのは乳酸菌ですが、乳酸菌を摂るのであればヨーグルトなどを食べていただければ良いのかなと、私たちが注目したのが食物繊維です。不溶性の食物繊維を摂ることで腸内をきれいにし、腸の活動を刺激することができますし、水溶性の食物繊維は腸内細菌の餌となり、腸内環境の改善に役立ちます。
腸のはたらきが弱い人は、消化に時間を要するので、おなじ水分量の食物を食べても、腸内で長くそれが留まることになり、水分が抜けすぎて便が硬くなってしまいます。それで便秘のような症状が起こるのです。これは食物繊維を摂ることだけでは解消されない問題です。そこでうどんのスープが水分補給に役立つのではないかと考えました。
通常、うどんはゆでると、そのゆで湯は捨てられてしまいます。例えば塩分なら8割がゆで湯に溶けて抜けてしまうのです。せっかくうどんに練り込んだ栄養素がゆで湯とともに捨てられてしまっては元も子もありませんので、「腸活うどん」はゆで湯ごと食べていただける食品として開発しました。やや特殊なうどんと言えますね。
ゆで湯ごと食べていただくため「腸活うどん」に含まれる塩分は、かなり少なく抑えています。そのかわり、麺にあらかじめ練り込んだくるみのコクと昆布の出汁が、スープのおいしさに大きく寄与しています。
くるみの特徴と言えば良質な脂質を備えることでも知られています。えごま油やアマニ油など、不飽和脂肪酸に優れた食材はほかにもあるのですが、液状のオイルはそもそも麺に練り込むのが難しいのです。わずかな量を入れるだけで麺づくりの邪魔になってしまいます。その点、ペースト状にしたくるみなら「量」が入れられます。
腸のはたらきがもっとも盛んなのは夜、睡眠中と言われていますが、そのあいだ体内に吸収されてしまった水分を腸内に補うためにも、養分をたっぷり含んだゆで湯が効果的です。
社内で働くパートさん50人ほどに試作品を食べてもらいモニタリングをおこないました。その半数ほどが「腸の悩みがある」と言っていたのですが、反応はまずまずでした。
夜勤などが多く、不規則で多忙な生活によって体調や腸のコンディション管理が難しい医療従事者の方々に、 SDGsの取り組みとして無料配布のキャンペーンを2020年5月におこない、約2000名の応募者すべてにお送りすることができました。
本キャンペーンは、SDGsへの取り組みで、ある雑誌社のプレゼント企画に協力した際に、医療従事者の方から多数のご応募があったことをきっかけにスタートしました。コロナ禍で医療機関が大変な中、私たちの腸活うどんがお手軽・無添加・栄養豊富という点で、医療従事者の方々に役立てればと思い支援させていただきました。
腸には免疫に関わる細胞も多く存在していますから、手軽に食べていただける栄養食ということで、少しでも役立つことができればという思いがあります。「朝から温かいうどんを食べることで、腸のはたらきが、いつもより活発になるように感じた」という返事もいただきました。2分半のゆで時間で食べられますから、忙しい朝や短い休憩時間などに役立つというような、嬉しい反応もありました。
「腸活うどん」はゆで湯に溶け出たくるみのコクや昆布の出汁が味付けのベースとなっていますが、それだけで完璧な味という調整はしておらず、あくまでも味の基本を整えているにすぎません。毎日食べるのに同じ味では絶対に飽きてしまうからです。その日の気分や冷蔵庫の中身と相談しつつ、食べたい食材や調味料を「ちょい足し」で加えて楽しんでいただけると嬉しいです。そのままでも美味しく食べていただけるとは思いますが、まだまだ追求すべき課題もありますので、微調整を続け、商品自体のクオリティを上げていきたいと考えています。
ただ、特に今はコロナ禍で、なかなか思うように進むことばかりではありません。これからはオンライン試食会を開くなどして、食べていただく機会を増やしていきたいと考えています。
今年に入って様々なメディアでも紹介されている腸活うどん。お客さまの反応と今後の商品開発も注目されています。カリフォルニア くるみ協会では、腸活うどんを通じて、腸活フードとしてのくるみが日本人の食卓に定着・浸透していくことを期待しています。
株式会社讃匠
商品開発部部長 大場國弘 氏