上記よりカテゴリの絞り込みも可能です
検索結果(件)
栄養と健康
がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病と並び、5大疾病の一つとされている気分障害。厚生労働省の最新調査によると、精神疾患を有する総患者数は過去最高の約419万人を記録し1、日本人の100人に約6人が、気分障害の一つである「うつ病」を生涯のうちに発症することがわかっています2。気分障害の原因は、感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が生じているものと考えられており3、健康的な食生活による予防も大切です。
これまでの研究から、くるみにはオメガ3脂肪酸(α–リノレン酸)、ミネラル(マグネシウム、葉酸、亜鉛)、ポリフェノール、アミノ酸(アルギニン)、メラトニン、植物ステロールなど、気分障害の改善に役立つ栄養素が含まれることがわかっています4-7。
米国の成人を対象にした観察研究によると、くるみを摂取することでうつ症状が軽減される可能性が示唆されています。同研究では26,656の成人を対象に、うつ症状を調査。1日当たりくるみを約28g食べる人は、そうでない人に比べ、エネルギーレベルが高く活動的という結果がわかっています。なかでも、くるみを摂取している女性の場合は絶望感のスコアが低く、楽観的な精神状態に加え、集中力が高いという結果になっています5。
また若年層を対象にした臨床研究では、くるみの摂取が健康な若い男性(18~25歳)の心理状態を改善することも明らかになっています6。さらに豪州の18歳から35歳の大学生を対象にした最新研究では、くるみを1日約56g摂取したグループは、くるみを摂取しなかったグループと比べ、メンタルヘルスの指標や睡眠の質が改善され、学業ストレスによる悪影響も部分的に軽減したことが示唆されています8。
※気分障害を含む精神疾患の原因は多種多様なため、栄養や食事とは関係なく発症し、症状が持続すると考えられています。今後の研究では、くるみ等の食品に含まれる栄養と健全な心の状態を結びつけるメカニズムを解明し、気分障害を改善するためには栄養をいつ、どのように摂るべきかを調査していくことが必要です。また観察研究や臨床試験を通して、正常な気分の状態に寄与し、気分障害の進行に影響する、くるみの最適な摂取量を解明していく必要があります。
参考文献:
1厚生労働省 2022年「精神疾患を有する総患者数の推移」
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000940708.pdf
2厚生労働省「みんなのメンタルヘルス総合サイト」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/first/first01.html
3国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=9D2BdBaF8nGgVLbL
4Sánchez-Villegas A, Martínez-González MA, Estruch R, et al. Mediterranean dietary pattern and depression: the PREDIMED randomized trial. BMC Med. 2013;11:208.
5Arab L, Guo R, Elashoff, D. Lower depression scores among walnut consumers in NHANES. Nutrients. 2019;11(2):275.
6Pribis P. Effects of walnut consumption on mood in young adults—a randomized controlled trial. Nutrients. 2016;8(11):668.
7Freitas-Simoes TM, Wagner M, Samieri C, Sala-Vila A, Grodstein, F. Consumption of nuts at midlife and healthy aging in women. Journal of Aging Research. 2020;5651737.
8Herselman MF, et al. The effects of walnuts and academic stress on mental health, general well-being and the gut microbiota in a sample of university students: A randomised clinical trial. Nutrients. 2022;14:4776.