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栄養と健康
日本においてがんは1番多い死因とされており、男性の4人に1人、女性の6人に1人ががんで亡くなるとされています。1 野菜、果物、穀物、油、くるみを含むナッツ類、種類、タンパク質や低脂肪・ファットフリーな乳製品を含むプラントベースの健康的な食生活は、ある特定のがんのリスク低減に関連があると考えられています。2 世界ではくるみとがんに関する動物・細胞モデルの研究が行われており、ある研究ではくるみを含んだ食事と様々ながんの発症リスク低減と関連性が示されています。3また別の研究では、身体に起きる炎症ががんや慢性疾患のリスクを高めることが示唆されました。4炎症は身体にとって有害ですが、プラントベースの食事法によってその影響を和らげることができます。くるみはナッツ類の中で唯一オメガ3脂肪酸を豊富に含むナッツで、炎症を低減する可能性のある身体にいい脂肪です。4
『Nutrition and Cancer』に発表された動物実験では、母親と子どものマウスの乳がん予防におけるくるみの摂取の潜在効果について検証しました。この研究では、適量のくるみ(人なら一日2オンス=約56gに相当)を与えると、マウスの乳がんのリスクが低下することがわかりました。5 コーン油を含んだ餌のグループとくるみを含んだ餌のグループに分け、どちらの餌のカロリーも栄養素も等しくなるようにしました。くるみを与えた母親と子どもマウスはくるみを与えなかった母親と子どもマウスに比べて、腫瘍の発症率、個数、大きさが有意に低下しました。腫瘍の抑制に関係するくるみの特定成分とメカニズムを明らかにするには、さらなる研究が必要ですが、これらの結果はくるみがマウスの乳がんリスクを減らす一因となっている可能性を示しています。
『Nutrients』で発表された動物実験では、マウスにくるみを含む餌を与えると血管形成が抑制され、増殖が抑止される可能性が示されました。6 この研究では、結腸直腸がん細胞を持ったマウスにコーン油、亜麻仁油、またはすりつぶりしたくるみから摂取したグループに無作為に割り当てました。くるみまたは亜麻仁油を含む餌を与えたマウスでは、コーン油を含む餌を与えたマウスに比べて腫瘍の増殖率が有意に低下し、腫瘍の重量も減少しました。
くるみにはポリフェノールの一種のエラジタンニン(ETs)などいくつかの生物活性化合物が含まれています。ETsは摂取すると、代謝されてエラグ酸(EA)に変換されます。EAはさらに腸内細菌叢によって代謝され、ウロリチンA(UA)やウロリチンB(UB)などが生成されます。7 『European Journal of Nutrition』に発表された細胞研究では、前立腺がん細胞の遺伝子発現を解析したところ、人におけるくるみポリフェノールの主要代謝産物であるUAには前立腺がんの抑制または低減に役立つ可能性があることがわかりました。7
参考文献:
1国立研究開発法人国立がん研究センター最新がん統計のまとめ 2019年データに基づく
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
2World Health Organization. (2009). Preventing cancer: promoting a healthy diet and physical activity in childhood. Cancer.
https://www.who.int/cancer/prevention/children/en/
3Hardman WE. Walnuts have potential for cancer prevention and treatment in mice. J Nutr. 2014;144(4 Suppl):555S–560S. doi:10.3945/jn.113.188466
4Hardman WE. Diet components can suppress inflammation and reduce cancer risk. Nutr Res Pract. 2014;8(3):233–240. doi:10.4162/nrp.2014.8.3.233
5Hardman WE, Ion G, Akinsete JA, Witte TR. Dietary walnut suppressed mammary gland tumorigenesis in the C(3)1 TAg mouse. Nutr Cancer. 2011;63(6):960–970. doi:10.1080/01635581.2011.589959
6Nagel JM, Brinkoetter M, Magkos F, et al. Dietary walnuts inhibit colorectal cancer growth in mice by suppressing angiogenesis. Nutrition. 2012;28(1):67–75. doi:10.1016/j.nut.2011.03.004
7Sánchez-González C, Ciudad CJ, Izquierdo-Pulido M, et al. Urolithin A causes p21 up-regulation in prostate cancer cells. Eur J Nutr. 2016;55(3):1099–1112. doi:10.1007/s00394-015-0924-z